侍の名のもとに
こんな映画が存在することを知っていただろうか。
俺は弟に教えてもらった。
稲葉監督就任からプレミア12を優勝するまでを描いたものである。
稲葉監督の決意、苦心、栄光を中心に、
秋山翔吾の離脱や、周東の抜擢、誠也の4番としての活躍、坂本の不振からの復活などがドキュメンタリー映像となっている。
稲葉は自身の監督経験不足を自覚し、修行として、U-23日本代表の監督から始める。
ここでキーワードに挙げていたのは「直感力」である。
この直感力に長けているのは我が読売巨人軍原辰徳監督であろう。
いきなり一軍のスタメンで使った若手がその試合で殊勲打を放つ。特に第二次政権で何度も見た光景である。
ペナントを勝ち抜いていく上ではそこまで大きくない力であるが、短期決戦、特に寄せ集めのチームでは非常に重要な力であろう。
それを自覚し、行動している稲葉篤紀は普通の監督ではない。
実際、"NPBの監督未経験"で国際大会に優勝した、初の監督である。これは凄いことだ。
試合前などのミーティングの様子も、ところどころ映像に出てくるが、首脳陣は選手に、
「うまくいかなかったら全て監督コーチの責任だからのびのびやってほしい」
という言葉を一貫して使っていたように思う。
これをハッキリと伝えることは選手にとって重要だ。
結局責任を取るのは監督だということを選手達はわかっているはずだが、それを監督側から伝えることで、
信頼と、思い切ってやろうという気持ちが生まれる。
加えて、
昨日のオリンピック準決勝の試合後にもコメントしていたが、「良い準備をして臨みたい」というフレーズも印象に残る。
相手を徹底的に研究し、対策するという意味も、メンタル面で決勝に備えるという意味も含まれているだろう。
野球に向かい合う時間や思いが、他の監督より長く、強いことが伺える。
首脳陣の雰囲気や姿勢は、良くも悪くも選手達に大きな影響を及ぼす。
偉そうな発言や態度になりがちな監督という立場で、稲葉のこの姿勢はなかなかできるものではなく、
選手達にプラスになることは間違いない。
俺は常々、監督をやる人間は内野手か捕手出身であるべきだと考えてきた。ダイヤモンドの中にいることで、チームの意思や状態を強く感じてきているからだ。
(投手は常に打者と向かい合っており、チーム全体を見渡しにくい。また、交代してしまえば大抵ベンチに下がる)
しかし、投手でも外野手でも、自分の監督としての足りない力を自覚し、それを埋めようとする努力ができるのならば、出身ポジションは関係ないのだ、ということを稲葉篤紀は体現しようとしてくれている。
未熟さ伺える采配は多い。特に継投は建山コーチ一人で考えているのではないかと思うことが多い。
しかし、感情論に流されたような采配は少ないように思う。状況の準備がよくできていると思う。
決勝は明後日。勝負なのでどうなるかわからないが、勝つための努力を積み重ねてきた稲葉篤紀監督には金メダルを是非獲ってきてもらいたい。
頑張れ日本!